『Slay the Spire II』3月5日アーリーアクセス開始――Unity離脱・Godot採用の注目続編

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この記事は、Mega Crit Games公式発表、PC Gamer、Engadget、Game Developer など複数の海外メディアの報道を要約・解説したものです。

ローグライクデッキビルダーの金字塔『Slay the Spire』の続編『Slay the Spire II』が、2026年3月5日にSteam Early Accessで配信開始されると、開発元のMega Crit Gamesが公式に発表しました。対応プラットフォームはPC、macOS、Linuxで、コンソール版の発表は現時点ではないとのことです。

「Unity離脱→Godotで全面再構築」という開発経緯

本作で最も注目すべきは、ゲームの中身だけでなくその開発経緯にあります。Mega Critは当初、続編をUnityで2年以上にわたって開発していたとされています。しかし2023年、Unityがインストール数に応じた課金ポリシー(Runtime Fee)を発表した際、同スタジオは開発者コミュニティの中でも特に強い抗議の声を上げました。

Mega Critは当時の公開書簡で「変更が完全に撤回され、利用規約による保護が設けられない限り、エンジンを移行する」と表明したと報じられています。Unityはその後このポリシーを撤回し、CEOのジョン・リッチティエッロ氏が辞任する事態に至りましたが、Mega Critはそれでもエンジンの移行を決行したとのことです。

移行先として選ばれたのは、オープンソースのゲームエンジン「Godot」でした。IGNへの取材でMega Critの担当者がGodotへの完全移行を認めたと報じられています。2年以上の開発資産を捨てて別エンジンに移るという判断は、インディー開発スタジオとしては極めて大きなリスクであり、ゲーム業界でも大きな注目を集めました。

ゲーム内容の主な変更点

4人Co-opモードの搭載

前作は完全なソロプレイ専用でしたが、続編では最大4人でのオンライン協力プレイモードが初日から搭載されるとのことです。Steamページの情報によると、Co-opモードでは以下のような要素が含まれるとされています。

  • マップ上でのルート共同計画
  • 味方へのポーション使用
  • 宝箱からのレリック共有選択
  • マルチプレイヤー専用カードやチームシナジーの仕組み

新旧キャラクターの登場

報道によると、アーリーアクセス時点で5体のプレイアブルキャラクターが用意されるとのことです。前作からの復帰組として「Ironclad」「The Silent」「Defect」の3体、新規キャラクターとして「Necrobinder」「Regent」の2体が確認されています。各キャラクターは固有のカードプール・メカニクス・個性を持つとされています。

変化するアクト構造

各アクトに2つのバリエーションが用意され、ランごとにランダムで選択されるとのことです。これにより敵やボスの構成が毎回変わり、前作以上にリプレイ性が高められているとされています。

アーリーアクセスの方針

Mega Critはアーリーアクセス期間について、前作(約1年半)と同様に1〜2年程度を想定していると説明しているとのことです。公式FAQでは「ゲームが素晴らしいと感じられるまで」続けるとされています。

前作のSlay the Spireも長期のアーリーアクセスを経て、コミュニティのフィードバックを反映しながらバランス調整やコンテンツ追加を重ねて完成度を高めた経緯があります。Mega Critは今回も同じアプローチを取る方針で、公式に「プレイヤーのフィードバックによるバランス調整、QoL機能の追加、実験的機能のテストが目的」と述べていると報じられています。

なお、アーリーアクセス価格は未発表ですが、正式リリース時(Ver 1.0)には値上げが予定されているとのことです。

日本のゲーム開発者・エンジニアへの考察

本作が日本のゲーム開発者にとって注目に値する理由は、ゲームそのものの魅力に加えて、以下の2点にあると考えられます。

Unity→Godot移行の「実績」としての意味

2023年のUnity Runtime Fee騒動以降、「Unityの代替としてGodotは実用に耐えるのか」という議論が開発者コミュニティで続いています。Slay the Spireは全世界で数百万本を売り上げた大ヒットタイトルであり、その続編がGodotで開発・リリースされるという事実は、Godotの商用利用における信頼性を示す重要なケーススタディとなるでしょう。

もちろん、本作は2Dカードゲームという比較的シンプルなジャンルであり、3Dアクションや大規模マルチプレイヤーゲームにGodotが適しているかは別の議論です。しかし「2年以上のUnity開発資産を捨ててでも移行し、商用リリースに漕ぎ着けた」という事実自体が、エンジン選定を検討している開発者にとって参考になるはずです。

「ソロ→Co-op」設計の参考事例

ソロプレイ前提のローグライクに4人Co-opを後付けではなく続編の設計段階から組み込むという判断は、ゲームデザインの観点から興味深いものです。共有レリック選択やマルチプレイヤー専用カードなど、単にマルチプレイを「追加」したのではなく、Co-op専用のゲームメカニクスとして設計されている点は、自作ゲームにマルチプレイ要素を検討している開発者にとって参考になるでしょう。

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